堀・船津の中国旅行記
九賽溝 黄龍 楽山 峨眉山

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1996年世界文化自然複合遺産に登録された「峨眉山」は、成都市から南156キロ程の所にあります。峨眉山市は、楽山市から省道S306号線を西に30キロ程の所にあり、そこから更に5キロほど走った辺りに、峨眉山旅遊客運中心(ビジターセンター)があります。峨眉山山門もここに建っています。ホテルも揃っているし、峨眉山の山頂に向かうバスセンターもありますからこの辺りに泊まるのが一番便利です。このページも、峨眉山旅遊客運中心を起点にして説明します。一口に峨眉山と言ってもそのエリアは広大ですから、効率的に観光するには、事前に自分が行きたい所を決めたり、車をチャーターする等しておいた方が良いでしょう。
峨眉山という名前は、山の形が少女の眉に似ていることからそう呼ばれるようになったと言われています。主峰の万仏頂(標高3099m)と金頂(正式名称は千仏頂で標高3077m)を中心とするキョウライ山脈に属し、標高2500mを越える峰々は72峰もあるそうです。五台山(山西省)・普陀山(浙江省)・九華山(安徽省)と並ぶ中国四大仏教名山の一つです。山全体が仏教の聖地で普賢菩薩の霊場となっています。最盛期の峨眉山には150を越える仏教寺院が建立されたそうで、現存する仏教寺院も20を超えます。
普賢菩薩とは「一切菩薩の上首」とされ、全ての菩薩の上にあり 文殊菩薩とともに釈迦如来を助ける菩薩です。六本の牙を持つ白い象の背に乗って釈迦の右側に鎮座し、釈迦如来とその左側の文殊菩薩をあわせ、釈迦三尊とも呼ばれます。東京国立博物館にも国宝の普賢菩薩像(制作は平安時代)が収蔵されています。
峨眉山の歩き方は様々ですが、ここでは私達のコースに沿って紹介しましょう。(左地図の上にマウスポインターを乗せると、場所の番号が示された私達のコースが開いたままになります)
=1日目=ホテル発@〜雷同坪停車場A〜接引殿A〜架空索道AB〜金頂C〜架空索道BA〜雷同坪停車場A〜万年寺駐車場D〜架空索道DE〜万年寺E〜白龍洞F〜清音閣G〜清音閣停車場G〜ホテル着@
=2日目=ホテル発@〜報国寺H〜伏虎寺I〜伏虎寺羅漢堂I〜華厳実塔I〜成都空港へ、移動はチャーター車
<1日目>私達は、朝8時車でホテルを出発し峨眉山の主峰の一つ「金頂」の頂を目指しました。車は標高2500m付近にある雷同坪停車場まで1時間半程で上ります。途中、峨眉山の入山ゲートがあり、入山料を支払います。ゲートを通る時、写真を撮られ自分の顔が印刷されたチケットが返ってきます。記念に持って帰えると良いでしょう。
雷同坪停車場から急な坂道を上ると架空索道(ロープウエー)駅(標高2540m)があります。駅の直ぐ前には接引殿がありますから、乗る前に一寸お参りしても良いでしょう。
下のをクリックすると「峨眉山の主峰「金頂」に至るまでの様子」を動画でご覧頂けます。動画下のをクリックすると全画面表示でご覧いただけます。

接引殿の大雄宝殿には金色に輝く大きな釈迦像が祀られ左右の壁には18羅漢があります。大雄宝殿の裏手には弥陀宝殿があり阿弥陀仏立像があります。
架空索道の標高差は約500m、眼下に奥深い峨眉山の原生林が広がっています
。上駅には金頂大酒店があり、ご来光を見たい人はここに泊まるようです。上駅やその周辺には、軽食を売る店があるので山頂を目指す前に腹ごしらえすると良いでしょう。ここからは徒歩で金頂(標高3077m)の頂を目指します。登るに連れてガスが濃くなり、参道の長い石段を登る頃はほとんど視界が効かない状況でした。ガスの切れ間から石段の両端に造られている白い象が見えてきました。五体投地をするチベット族の姿もありました。いよいよ霊山の懐に入った事を実感します。石段を途中まで登った所で、ガスの切れ間から巨大な立像が現れました。いよいよ金頂に到着です。
金頂(現地にあった絵の写真
のもともとの名称は千仏頂なのですが、麓から望む頂きの建物が太陽の光に照らされてキラキラと金色に輝くため、金殿または金頂と呼ばれるようになり、千仏頂もまた金頂と呼ばれるようになったものです。金頂には、華蔵寺臥雲庵という二つの寺院がありますが、金殿、銅殿、銀殿および十方普賢銅像等は、2006年6月18日に新しく開眼されたものです。では山頂へ向かって順番に説明していきましょう。
最初にあるのが、巨大な四面十方普賢菩薩金像
(右写真)です。六本の牙を持つ白い象の背に乗った普賢菩薩が、仏の慈悲と理知をもって人々を救うお姿をあらわし、そのお顔は東西南北等、十の方向を向き、菩薩の十大誓願をあらわしています。高さ48m、重さは600トンに及ぶそうです。四面十方普賢菩薩金像の体内に入ると、金色に輝く阿弥陀仏の金像や、過去・現在・未来を表す三世仏等が祀られています。普賢菩薩金像の奥にある荘厳で雄大な建物が華蔵寺大雄宝殿です。建物全体は銅で造られており銅殿とも呼ばれています。宝殿の前には、お参りする信者が絶えません。宝殿の中には三世諸仏が祀られています。
その後の石段を登った所が金頂の頂きで金殿
が建っています。金殿の建物全体が金銅製(銅に金メッキしたもの)でできており眩いばかりです。金殿の背面は断崖絶壁となっており、晴れた日は絶景の眺望が楽しめるそうです。
雷同坪停車場から車で中腹にある万年寺駐車場へ向かいました。万年寺駐車場から万年寺までは架空索道
があります。架空索道を降りると長い石段が待っていますから頑張って登りましょう。


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万年寺(標高1020m)は、峨眉山で最も古い寺の一つで1700年前に創建されました。山門をくぐると直ぐに弥勒宝殿があります。奥に進むと、屋根が丸い古代インド様式の建物「無梁殿」があります。白象に乗った普賢菩薩銅像が祀られており、その高さは7.4m、重さは62トンもあります。「天が丸、地が四角」の古代仏教思想に沿った造りだそうです。北宋時代の980年に造られたもので、峨眉山が普賢菩薩の修行道場になった由来ともなっています。釈迦シャリ(仏歯)も安置されているそうです。この寺にはその他にも観音堂・大雄宝殿等、多くの建物があります。
白龍洞(標高800m)
は、万年寺から徒歩20分ほどの所にあります。奥の大雄宝殿には三世仏が祀られています。万年寺から白龍洞を経て清音閣に至る道は、峨眉山の中腹にあたり、起伏に富んだ、静寂な森が続いていますから、森林浴も楽しめます。(途中で駕籠かきのおじさんに道を確認する私達。疲れたら駕籠に乗るのも良いかも・・)
清音閣(標高710m)
は、白龍洞から更に徒歩20分ほどの所にあります。この寺は唐代に建立された古寺で、阿弥陀如来が祀られています。 清音閣を出て直ぐ下に牛心亭があります。木漏れ陽と清流を楽しめる休息場所です。ここから清音閣停車場(駐車場入口に建っている門へ下る途中に、良寛和尚の詩碑が建っていました。「200年程前、良寛和尚はとある浜辺で流木をみつけました。「峨眉山下橋」の一部が洪水で流され、日本に流れ着いた」との逸話の場所だそうです。
<2日目>私達は、峨眉山の麓に点在する幾つかの寺を訪ねてみる事にしました。峨眉山旅遊客運中心からも程近い所にあります。
報国寺(標高500m)
は、明代の16世紀に建立され、1703年に修復されたものです。山門には弥勒仏が祀られ、その後の大雄宝殿には三世仏と並んで左右に18羅漢が並んでいます。更に奥にある七仏殿の七仏像は中国の重要文化財に指定されています。正面から入った広場の左側には、高さ2.3m重さ25トンの鐘があります。
伏虎寺(標高630m)
は尼寺で、報国寺から約3キロ程離れた原始林の中にあります。南宋時代に建立された1000年の歴史を持つ古寺です。この寺の奥には、中国最大の羅漢堂があります。この寺にはその他にも、念仏堂・大雄宝殿・華巌実塔など、見逃せないものが多くあります。
峨眉山巡りを終えて、運転手兼案内役の呉建東さんと記念撮影しました
。呉さんお疲れさまでした。私達は峨眉山を後に、次の目的地へと向かう為、成都空港へ向かいました。この続きは桂林をご覧下さい。

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[特記事項]
峨眉山の鉄道駅;峨眉山市の北西3キロ程の所に峨眉駅がありますが、始発列車がないので、座席指定を取るのはかなり難しいです。
楽山との移動;鉄道はないので、バスか車をチャーターするしかありません。峨眉山観光は広域に跨るので、効率的に周るなら車をチャーターして、その車で楽山まで行くのが良いみたいです。
峨眉山の宿;峨眉山旅遊客運中心にある「峨眉山大飯店」(4星級)に2泊しました。
金頂の天候;標高3077mの山頂付近は、ガスが出ることが多く、その時は気温が極端に下がります。防寒や雨具を用意して置きましょう。
峨眉山の最高峰、万仏頂(標高3099m)は、工事中で立ち入り禁止になっていました。万仏頂へ向かうロープウエーも止まっていました。
峨眉山の入山料;120元
金頂ロープウエーの料金;上り40元、下り30元。
万年寺ロープウエーの料金;上り40元、下り30元
主な寺の入場料;峨眉山入場料(120元)、万年寺(10元)、報国寺(8元)、伏虎寺(6元)

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.R.HORI & Y.FUNATSU
公開日: 2002.08.10 更新日2013.03.01