堀・船津の中国旅行記
四川省
九賽溝 黄龍 楽山 峨眉山

本文中のを押すと画像がご覧頂けます

私達は、タクシーをチャーターし九賽溝から黄龍へ向いました。約130キロの道程です。
九賽溝から黄龍へ向かう道をクリックして参照して下さい。九賽溝を出て省道S301号線を南下し松藩県に向かいます。途中で、九賽黄龍空港付近を通過し、川主寺鎮で国道G213号線と合流します。川主寺鎮から、国道G213号線を15キロ程南下すると松藩県があり、左折(東側)すると黄龍溝があります。川主寺鎮から黄龍溝に向かう道は、標高4000mを越える山道となります。この道路の最高地点は雪山梁の峠で標高は4200mあります。私達がここを通った9月19日も吹雪で視界ゼロでしたが、帰りには雪山梁からの素晴らしい日の出を見る事ができました。峠を越えて標高差1000mほど下ると黄龍入口に着きます。ここには宿泊施設や観光案内所(ビジターセンター)など多くの観光施設が整っています。私達もここにある黄龍山荘に宿泊しました。
世界自然遺産黄龍溝の概要は、四川省アバ・チベット族チャン族自治州の松潘県に属し、5000m級の山々が連なる岷山山脈の中にあります。風景区の総面積は700平方キロ以上におよび、黄龍溝、牟尼溝、丹雲峡等、複数の風景区からなっています。その中の一つ、黄龍溝は、五色に彩られた3400以上もの湖が段々畑のように連なっており、その曲がりくねる姿が、龍が天に駆け昇るように見えることから「黄龍」の名が付いたと言われています。
黄龍の歩き方-黄龍の最終目的地は標高3576mにある五彩池です。黄龍風景区内の観光ルートは2段目の地図の通りですが、最高地点の五彩池まで登るには、二つのルートがあります。入り口から徒歩で登っていくルートとロープウエーで「望龍坪」(標高3600m)まで登り、そこから徒歩で目的地「五彩池」を目指すルートです。私達のお薦めは、途中の眺望が素晴らしい後者ルートです。以下、ロープウエールートにそって照会して行きましょう。
なお、左のから岩関索道(ロープウエー)空中遊覧と望龍坪からの眺めを動画でご覧頂けます.。こちらも参考に見て下さい。 .

 

下のをクリックすると岩関索道と望龍坪からの眺めを動画でご覧頂けます。動画下のをクリックすると全画面表示でご覧いただけます。

本文中の
を押すと画像がご覧頂けます
岩関索道(ロープウエー)のチケットは入場券売場にあります。風景区前広場から無料の連絡バスに乗って数分間で索道下駅に着きます。標高3000m付近から標高3600の索道上駅まで素晴らしい空中遊覧が楽しめます。(ビデオボタンから空中遊覧のビデオ映像をご覧いただけます)
望龍坪(標高3600m)
は、索道の上駅から10分ほど下った所にあります。展望台に立つと180度の眺望が広がります。北西側には、雪山梁の峯々が連なり、南東側には、岷山山脈の主峰「雪宝頂」(5588m)と「玉翠峰」(5160m)の2峰がそびえていま。視線を下に向けると秘境「黄龍溝」が一望できます。天気に恵まれれば絶景の眺めです。(ビデオボタンから望龍坪の眺望をご覧いただけます)
望龍坪から黄龍古寺までは、約2キロの道程で起伏も少なく歩きやすいように木道が整備されています
。木道には標識も整備されており、酸素センターやトイレ、ベンチ、ゴミ箱なども整っています。景色を眺めたり写真を撮ったりしながらノンビリと小1時間も歩くと、急に眺望が広がります。正面に雪宝頂がそびえ、目前には茶色の岩肌を流れ落ちる水の飛沫がキラキラと輝いています。この茶色岩肌は石灰岩で、この石灰岩が神秘の黄龍溝を形成しているのです。黄龍に見られるような石灰岩の台地はトラバーチン地形と呼ばれます。ここ黄龍は世界最大規模のトラバーチンの地形がある事で知られています。

トラバーチンとは石灰岩の台地に、地下から湧き出す鉱物が沈殿して、縞状の模様が形成される地形の事で、分かり易く言えば、地上に出来た鍾乳洞のようなものと思えば分かりやすいですね。黄龍溝の地質は、古生代期、数億年という途方もない期間をかけて、炭酸カルシウムを多く含む石灰岩の地層が幾重にも積みかさなって形成されたものだそうです。そして、およそ200万年前、地球の造山運動によって、岷山山脈が誕生すると、山々を覆い尽くした氷河が次第に山肌を削り、現在の黄龍溝ができたと言われています。現在の黄龍溝には、標高3145〜3578mの間の長さ3.6キロの溝に、3400以上のトラバーチンの彩池からなる8つの彩池群があるそうです
流れ落ちる岩肌を左に見ながら、木道の階段を登る
と黄龍古寺が見えてきます
黄龍古寺
は、黄龍溝に二つある寺の一つで「雪山寺」とも呼ばれています。明代に創建された道教の寺院ですが、チベット仏教の法輪もあって、道教と仏教が融和している珍しい寺院と言う事です。周辺に住むチベット族・羌族・回族・漢族に信仰されているそうです
五彩池
は、黄龍古寺の裏側に広がっています。標高は3576mで黄龍溝で、最も高い場所あり、大小693の彩池からなっています。エメラルドグリーンに輝く水は、何処までも透き通って美しく、その美しさは言葉より写真で見てもらうか、さもなくば実際に見るしか表現の仕様がありません。展望台に登ると、碧玉を一枚一枚はめ込んだように見える彩池群が背景の雪山(雪宝頂)と相まって、自然の芸術作品を一望できます。五彩池を後に500mほど下った所に、もう一つの寺院「黄龍中寺」があります。


本文中のを押すと画像がご覧頂けます

黄龍中寺は,明代に創建されたチベット仏教寺院ですが、黄龍古寺の道教寺院と隣合わせで共存するという、秘境ならではの不思議な宗教世界を目の当りにできます。
黄龍中寺から入門口がある標高3145mまで
は、木道が整備され歩きやすい下り坂が続きます。周りの景色を見ながらノンビリと歩いて1時間ほどで入門口に着きます。5キロ程です。途中にも沢山の彩池や滝などを見る事ができますが、全部は書ききれませんので、主な見所を標高の高い順に写真で紹介しましょう。
接仙橋
→争艶池(上から4番目の彩池群)→娑ツワ映彩池→金砂舗地(水の底に金色をした鱗状のトラバーチンが固まり渓流となった所で、龍が雪山から飛び降りてきたように見える事から「黄龍溝」の名の由来となった場所とされる)→盆栽池→洗身洞(高さ10m幅40m)→飛瀑流輝(高さ14m幅68m。何段も階段状に流れ落ちる梯子状の瀑布)→迎賓池→入門口・ユネスコ登録記念碑・国家重点風景区碑
逸話ー昔々、黄龍溝が大干ばつに見舞われたことがあり、村人が麓の村から水を引いて入れたところ、白く濁ってしまったという(NHK特集「黄龍」から引用)。自然の力だけが作り出すことができる、神秘の世界の逸話ですね。
結びー5000m級の峯々が連なる岷山山脈の、その懐深くに抱かれた世界遺産「黄龍」は、私達の忘れられない風景の一つとして永く心に残る場所の一つとなりました。
<楽山へ>翌早朝、私達は空路
で成都を経由し、楽山へ向かう事にしました。この続きは「楽山」をご覧下さい。


本文中の
を押すと画像がご覧頂けます

---------------------------------------------------------------------
[特記事項]
九賽黄龍空港から黄龍へ向かうには
;ー空港から一旦省道S301号線まで下り、川主寺鎮から黄龍溝に向かいます。約60キロありタクシーなら1時間半程、料金は200元位です。およその距離は、九賽溝〜黄龍=130キロ、九賽黄龍空港〜九賽溝=100キロ、九賽黄龍空港〜黄龍60キロ。
公共バス;九賽溝・黄龍・九賽黄龍空港の間には、それぞれ定期バスが運行しています。但し、本数が少ないので利用する時には時間の余裕が必要です。
酸素ボンベ
;黄龍に向かう途中、標高4200mの雪山梁の峠を越え、黄龍溝入口付近でも標高は3200mありますから、念の為酸素ボンベが1本あれば安心です。酸素ボンベはホテルなどでも売っています。黄龍風景区内は、各所に酸素ステーションが設けられていますから、酸素ボンベは必要ありませんが、持って登っている人も見かけました。
ホテルの暖房;黄龍は標高が高いので夏でも霜柱が立つほど冷え込みます。ホテルの部屋は暖房が入っているのですが、暖房の効きが悪い部屋もありますから、念の為、厚手の衣類や使い捨てカイロなど、余分に用意しておきましょう。
黄龍風景区入場料;200元
。外国人も含め60〜69歳は150元、70歳以上は入場無料。(2007年9月現在)
黄龍風景区岩関索道;上り片道80元
。(2007年9月現在)
名物・美味い物;四川料理が中心で、特筆すべきものはありません。


このページに関するご感想やご意見などを、お待ちしています。

.R.HORI & Y.FUNATSU
公開日: 2002.08.10 更新日2013.03.01