堀・船津の中国旅行記
甘粛省

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私達は銀川駅から夜行列車(K43号列車=銀川駅22:05発)に乗り、早朝6:23に蘭州駅に到着しました。
蘭州市は甘粛省の省都で、人口300万人の大都市です。甘粛省は、南を祁連山脈に、北をゴビ灘=バダインジャラン砂漠(ゴビ灘の説明はここをクリックしてください)に挟まれた細長い廊のようになっています。黄河の西にあることから「河西回廊」と呼ばれます。蘭州市は西の敦煌へ至る河西回廊の入口にあたります。また、蘭州市から祁連山脈の南を通りタクラマカン砂漠の「西域南道」に抜けるもう一つのシルクロード「青海省ルート」への分岐点でもありました。一方、チベット高原に源を発する黄河が青蔵高原を通って北上し、初めて出会う都市が蘭州市です。黄河は蘭州で流れを北に変えオルドス地方を目指して流れます。シルクロードの旅人は必ず黄河を渡る事になり、その渡河口が、蘭州郊外にある「炳霊寺石窟
」付近でした。
蘭州市観光は、大きく三つに分けて楽しむ事が出来ます。「大黄河を間近に見る
」「蘭州市を流れる雄大な大黄河をパノラマで見る」「巨大な劉家峡ダムとその奥にある炳霊寺石窟を訪ねる」の三つです。(左記ビデオボタンから、蘭州市内を流れる大黄河の流れと、劉家峡ダムの奥にある炳霊寺石窟をビデオ映像でご覧いただけます)
「大黄河を間近に見る」には、市の北を流れる黄河の北岸にある「白塔山公園
」です。白塔山の標高は1700mありますが、蘭州市の標高が1000mほどですから、山と言うより丘といった感じです。白塔山公園に行くには、黄河にかかる「中山橋」の近くにあるロープウエイに乗ります。ロープウエーは南岸から対岸(北岸)の白塔山公園まで黄河の真上を渡ります。頂上からは黄河と市内が一望できます。又、市民の憩いの場所ともなっており、夏は涼を求める人達で賑わっています。大黄河を眺めながらお茶を一服するのも良いですよ。一服したら、あちこちに建っている楼閣を見ながら歩いて山をおりると、その辺りは回族の街となっています。まもなく黄河の北岸にでます。黄河に架かる中山橋を渡ると大黄河が目の前に迫ります

ボタンをクリックするとビデオ映像がご覧頂けます。

「蘭州市を流れる雄大な大黄河をパノラマで見る」には、蘭州市の南にそびえる標高2192mの蘭山公園です。頂上へはリフトで登りますが、リフトの高低差は約1000m以上で、かなりスリリングなリフトです(高所恐怖症の人はご注意を)。山頂へはリフトを降りてしばらく歩く事になりますが、この山頂に立つと蘭州市とその周辺の雄大な景色が一望できます。ただ蘭山公園に登るリフトの乗り場が分かりにくいので、「五泉山公園」の入場券売り場で尋ねるといいです。入場券売り場の裏の方に旧市街があって、その上り坂の細い路地(車は通れません)を15分ほど歩いた所にリフト乗り場があります。
蘭山公園に登る時間がない人は、五泉山公園
からでも市内が一望できます。蘭山公園のリフト乗り場に隣り合った所にあります。泉蘭山(海抜1600m)山麓の斜面にあり、明代初期(1400年頃)に建てられた「崇慶寺」を中心に市民の憩いの場所となっています。五泉山の由来は、5ヶ所から泉が湧き出している事からきています。
「巨大な劉家峡ダムとその奥にある炳霊寺石窟を訪ねる」
には、一日がかりとなります。市内の旅行社で毎日複数のツアーが組まれていますから、これに参加するのが一般的です。但し日曜日は旅行社が休みですから、前もっての予約が必要です。その他に、費用が少し高くはなりますが、ホテルのビジネスセンターに依頼して、ガイド付きで車をチャーターする事も可能です。私達は蘭州到着が日曜日だったので、ホテルで特別に手配してもらい、車を一日チャーター
する事にしました。ちなみに料金は、車チャーター料・ガイド・快速艇チャーター料・入場料・昼食代など、オール込み込みで、1050元(二人分)でした。(前もって予約すればもう少し安いと思われます)
車は市内のホテルを出発し、黄河沿いの国道を西に向かい
、劉家峡ダムの船乗り場を目指します。劉家峡ダムまで100キロほどです。


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劉家峡ダムは、膨大な黄河の水を利用する為1974年に完成した中国最大級の発電所の一つです。私達はここで快速艇に乗り換え劉家峡ダムを上流に縦断する事になります。巨大なダム湖は快速艇でも1時間かかります。快速艇は真っ青な湖面(赤い砂が湖底に沈んでいる為、湖面は青く澄んでいます)を猛スピードで突っ走ります。両岸は赤茶けた山並みが続いています。快速艇が上流に進むにつれ、ダム湖は次第にその巾を縮め、湖面は真っ赤に染まってきます。正に大黄河の流れとなってきます。快速艇が黄河に入るとそこは劉家峡です。両岸には奇岩が幾重にも重なっています。この山肌に1500年も昔、炳霊寺石窟が造られたのです。流れが少し緩やかになる所で船を下りると、そこはもう炳霊寺石窟の入口です。対岸の山肌には幾層もの横縞が確認できます。何万年、何億年も昔の黄河の流れの跡です。そそり立つ奇岩を見ながらしばらく歩くと、眼前に巨大な摩崖大仏(高さ27m)が見えてきます。石窟全体の長さは2km、上下4段に分かれ、183の石窟、800体の石造、900平方メートルの壁画があると言われます。私達は、この巨大な摩崖大仏を見上げながら、遠い昔、シルクロードの旅人がここで黄河を渡り、同じようにこの巨大な摩崖大仏を見上げながら西方を目指したのであろう、と思いを巡らせながら炳霊寺石窟をあとにしました。
河西回廊列車の旅
ー西方に勢力を伸ばしつつあった漢の武帝(紀元前200年頃)は、匈奴の侵入に備え、河西回廊に四つの軍事拠点を設けました。武威・張えき・酒泉・敦煌の四群です。秦の時代の万里の長城も、河西四郡に沿って更に西へと伸びていきました。明代(1368〜1644年)に入ると、北方の異民族モンゴルへの備えとして「酒泉」郊外の砂漠のど真ん中に「嘉峪関城」を築き、西の守りの要としました。これが現在の嘉峪関市です。私達は万里の長城の終点を目指して、蘭州市から嘉峪関市までの河西回廊を、列車で走り抜ける事にしました
。(T657号列車、蘭州駅22:17発→嘉峪関駅8:11着)

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[特記事項]

料理の特徴:イスラム教徒が多いのでレストランはイスラム(清真)料理店が多い。料理は見た目には中国料理と変わりありませんが、イスラムの教えから豚肉を使わず羊肉(ヤンロウ)を使っている事です。蘭州は牛肉を使った料理も多くあります。
代表的な料理:蘭州牛肉麺
蘭州拉麺=ラーメン)(麺は沢山種類があるが、大別すると丸い麺と平らな麺がある)羊肉しゃぶしゃぶ
特産品:白蘭瓜、冬果梨、
天水のリンゴ等、果物が豊富。中でも桃は蘭州蜜桃と呼ばれ有名。
少数民族
回族・チベット族。蘭州は回族が多く、黄河の北側や市の西部に多く住んでいます。特に西部はイスラム都市となっています。
蘭州空港について;蘭州中川空港は市内から70キロ離れており、市内に入るなら列車の方が効率的です。
ゴビ灘とゴビ砂漠の違いについてー
「ゴビ砂漠」はモンゴルの南に広がる東西約1600km、南北約970km、の砂漠の事です。「ゴビ」とはモンゴル語で砂れきの意味で、これに海と言う意味の「灘」を付けて「ゴビ灘(たん)」と言うと、固有名詞ではなく一般的な砂漠を言い表します。そして「ゴビ灘」は砂だけの砂漠と異なり、丈の短い草がまばらに生える砂礫草原を指します。河西回廊に広がる砂漠は、殆どが「ゴビ灘」です。


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.R.HORI & Y.FUNATSU
公開日: 2002.08.10 更新日2013.03.01