堀・船津の中国旅行記
山西省
五台山

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秦皇島から石家荘に入りホテルで一泊、翌朝9時発の長距離バスで五台山に向かいました。13時頃の到着予定でしたが山岳部の大渋滞で着いたのは14時過ぎとなってしまいました。
五台山風景区に入るには三つのルートがあります。下図左=五台山遊覧図をご覧下さい。石家荘から入るルートは南線ルートで南門進山口が風景区への入山口になります。北京や大同方面から入るルートは北線ルートで北門進山口が、太原から入るルートは西線ルートで西門進山口が、それぞれ風景区への入山口になります。
風景区に入る時、独特の入り方があります。入山者は、それぞれの進山口で門票(168元)
と旅遊観光車票(50元)を購入する必要があります。長距離バスで入山する場合は、バスの中で門票と観光車票を購入でき、そのまま風景区内のバスターミナル(下図右=観光車停車駅図の12番)まで行く事が出来ます。
風景区内では一般の路線バスは運行されていません。一般車の乗り入れも出来ません。代わりに観光車
(環保車=環境保護車)が運行されているのでこれを利用する事になります。観光車は区内(下図右=観光車停車駅図参照)を頻繁に走っており修行僧等地元の人もこの観光車を利用しています。3日間有効で風景区内は乗降自由です。
風景区内のメイン道路は、北門進山口から入って来る「北線換乗点」(停車駅図1〜22)、南門進山口から入って来る「南線換乗点」(3〜22)、西門進山口から入って来る「西線換乗点」(2〜22)の3本があります。3本の接点となる駅が鎮海寺駅22で、三方向に向かうバスの発着所
があります。例えば風景区の中心である台懐鎮(北線)から西線方向に向かう時は、鎮海寺駅22で乗り換えると言った具合です。バス停の間隔は短く本数も多いので大変便利ですが、西線は運行本数が少ないので時間の余裕が必要です。
五台山について(世界文化遺産)ー山西省東北部の五台県にあり、大同市(から200キロ)、太原市(から230キロ)、石家荘市(から200キロ)を結ぶ三角形のほぼ中心に位置しています。五台山の由来は、北に聳える最高峰の北台頂(葉頭峰海抜3058m)を筆頭に、東台頂(望海峰2795m)、西台頂(挂月峰2773m)、南台頂(錦綉峰2474m)、中台頂(翠岩峰2893m)からなる(頂上が台形をしている)五つの峰に囲まれている事によります。峨眉山(普賢菩薩霊場=ここから峨眉山をご覧いただけます)、普陀山(観音菩薩霊場)、九華山(地蔵菩薩霊場)と並んで、中国四大仏教名山の一つとされます。開山は紀元前1世紀に遡り、現在の台懐鎮に顕通寺が建立されたのが始まりとされます。以降300を超える寺院が建立されましたが、今でも47の寺院が現存しており、正に霊山の雰囲気があります。五台山はチベット仏教の聖地ともなっており、マニ車やチベット僧もいたる所で見かけます。では数ある寺院の中から、いくつかの見所を紹介します。

下のをクリックすると「五台山索道と黛螺頂からの眺め」を動画でご覧いただけます。動画下のをクリックすると全画面表示でご覧いただけます。

1北線換乗点
2西線換乗点
3南線換乗点
4碧山寺
5集福寺
6普寿寺口
7金界寺橋
8中心寺廟群
9台懐街
10殊像寺
11明清街
12汽車駅
13金海
14銀海
15南山寺橋
16雲峰
17山岨
18龍泉山荘
19錦秀
20五峰
21龍泉寺

  22鎮海寺  23明月海 24白雲寺

五台山索道(ロープウエー)(バス停-6普寿寺)ー黛螺頂に登る索道で乗り場はバス停から徒歩5分程度の所にあります。全長は980m、標高差298m、料金は上り=50元、下り=35元です。徒歩でも登れますがかなり急坂で時間もかかります。頂上には大螺頂寺院があります。頂上からは台懐鎮の寺廟群が一望でき、特に五台山のシンボル「塔院寺の白塔」の遠望は一見の価値があります。五台山索道と黛螺頂からの眺めは、上段のから動画でご覧頂けます。
集福寺
(バス停-5集福寺)ーラマ寺院で、建物はチベット様式となっています。清代の光緒年間(1875-1908)に建立されました。寺の広さは5千6百uもあり、修行僧の部屋が80もあるそうです。 道路脇の階段を登った高台にあり、境内からは塔院寺の白塔が見えます
七佛寺
(バス停-5集福寺)ー創建は北宋代(980-1126)とされます。名の通り七佛を祭る寺ですが、七佛とは釈迦牟尼を含め、その前に登場する6人の仏(毘婆尸仏、尸棄仏、毘舎浮仏、倶留孫仏、倶那含牟尼仏、迦葉仏)の事です。仏教は釈迦牟尼1人の教えではなく、それ以前(前世)の仏の功徳の集大成であるとする説に基づくものです。見所は、境内の南側に建っている6角の7層、高さ12mの塔です。7層は七佛に由来しています。境内を案内してくれたおじさんと記念撮影しました。
顕通寺
(バス停-8中心区寺廟群)ー紀元前1世紀(漢代)頃建立された五台山で最も古い寺です。五台山の「祖寺」とされ、五台山を訪れる礼拝者はまず顕通寺に参拝します。敷地面積は4万3700uもあって五台山中、最大の規模を誇っています。主要な建物が、入口となる山門から順に、観音殿、大文殊殿、大雄宝殿、無量殿、千鉢文殊殿、銅殿、蔵経楼の七つあります。この中で最大の見所は、銅殿(明代1605年建立)とその前に建つ5本の銅塔です。合わせて5万kgの銅が使われているそうです。近年金箔が施され、燦然と金色に輝いています。
塔院寺
(バス停-8中心区寺廟群)ー元々顕通寺の塔院でしたが、明代の1579〜1582年頃、顕通寺から独立したのだそうです。この寺に五台山のシンボルである白塔があることから、塔院寺の由来となりました。元代の1301年に建てられた仏舎利塔(お釈迦様の骨が納められている)で、高さが56mもある巨大なものです。五台山の他の寺々にも大小様々な白塔がありますから、これと区別する意味で大白塔とも呼ばれています。遠くからは分かりませんが、近くで良く見ると沢山の銅鈴と御仏のお姿があります。また境内にはチべット仏教寺院特有の大きな法輪があります。その奥(白塔の下の所)に一辺が27個の小法輪があります。4辺を合わせると煩悩の数108個となります。信者だけでなく観光客も周りをまわって法輪を回しています。周り方は時計回りで4周回ります。どうぞご利益があります様に・・。


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龍泉寺(右写真)(バス停-21龍泉寺)ー九龍崗の山腹(海抜1700m)にあって龍を閉じ込めた泉があるという伝説が由来となっている寺です。宋代(960-1279年)に建立されました。バス停から寺までは山道を登って行く事になりますが、途中に「龍泉」の湧き出る泉(龍泉聖水)があります。ポリタンク(売っていました)に入れて持ち帰る人もいます。寺に着くとまず待っているのが108段の石段です。既に山道を登ってきたので、かなり堪える急階段です。階段を登りきった所に、この寺の見所の一つ(石の彫刻でできた)牌坊(山門=右写真)が建っています。1920年に作られた新しいものですが、89の龍が繊細に彫られた見応えのある山門です。山門の先(北側)に本殿群があります。手前から天王殿、観音殿、大雄宝殿と1列に並らんでいます。何れも山西省の文化財に指定されている古い建物です。ここから西側に進むと二本の宝塔(白塔)があります。中でも普済宝塔は、高さが10mもあり繊細な彫刻が見事です。
鎮海寺
(バス停-22鎮海寺)ーバス停前にある白い石段を登った高台にあります。チベット仏教寺院で、寺の広さは1万6千uもあり、建物の数は100を超えます。全部見る事は難しいですが、見所は山門を入った所にある壁画と中庭に建っている宝塔でしょう。宝塔は清朝乾隆51年(1786年)に建てられたもので高さは9mあります。この時代は清朝(1644〜1911)の最盛期に当たる事もあってか、他の寺院の宝塔に比べると色鮮かです。
その他の見所ー前述の通り、代表的な寺院は台懐鎮に多く集まっていますが、宿泊・食べ物・土産店などの施設は、
「汽車駅」(観光車停車駅12)の東側(台懐鎮の南)の楊柏峪旅遊区に集中しています。旧市街の雰囲気が残っていますから、ぜひ散策してみましょう。
石家庄へー長途巴士駅発14:50のバスで、石家荘に向かいました。19:30頃到着予定でしたが、雨と渋滞の為、21時頃の到着となってしまいました。石家荘市内は豪雨に見舞われており(タクシーも捕まらず)身動きできない状態でした。運転手さんの好意で、バスの中で30分程タクシーを待ちましたが空のタクシーは通りませんでした。その後市内の別の所までバスを再移動してくれて、やっとの思いでタクシーが拾えました。雨合羽も役に立たず全身ずぶ濡れ状態でした。衣類を乾かす為、翌日の石家荘観光は中止し、午後の長距離バスで、泰山がある済南に向かいました。この続きは、ここをクリックして「済南」をご覧ください。

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[特記事項]
記載情報の入手日(=旅行日):2011年9月
列車駅:五台山駅を利用する事になりますが、駅は五台山風景区の北50キロ程の所にあって、車でも1時間半は掛ります。しかもローカル駅の為、列車利用は難しい様です。
風景区内の移動手段(観光車):路線バスは運行されていません。風景区内は観光車(環保車=環境保護車)を利用する事になります。(詳細は本文に記載)
タクシー事情:タクシーはありますが観光地の為、ボッタくりもあるようです。長距離バスセンター付近には客引きがいて、法外な料金を請求されますから要注意です。市内の移動には一番便利で安心な観光車を利用しましょう。
長途巴士駅(長距離バスターミナル):風景区の中心に位置し、観光車では「汽車駅」(観光車停車駅12)が最寄駅です。長距離バスの運行路線は、北京(所要時間7H、一日2本)、大同(4H、2本)、石家庄(4H、2本)、太原(4H、2時間毎)です。ただ、冬場(10月〜4月)の運行は、極端に少なくなります。乗車券は長途巴士駅の窓口で、前日から販売されています。
観光シーズン:4月〜9月。冬は雪の期間が長く、五台山に通じる交通期間も限られてきます。
注意点:奥深い山の中にありますから、ホテル以外でのトイレやレストランの衛生状態は良くありません。手洗い用に除菌用のウエットティッシュを持参するとか、食べ物も熱が入ったものをとるようにしましょう。
宿泊したホテル:五台山福泰山庄 石家庄金圓大廈

このページで書いておきたかった現地での親切
秦皇島から五台山へ向かう為、まず空路で石家荘に入り、翌日のバスで五台山に向かう予定でした。秦皇島発の飛行機は20:40で、石家庄着21:30の予定でしたがトラブルで遅れに遅れ、ロビーの椅子で不貞寝する程でした。実際に離陸したのは午前0時過ぎで、余りの遅れにキャンセルした人もいた模様で搭乗客はまばらでした。当然のことながら石家庄の空港に着いたのは夜中の1時頃です。石家庄はローカル空港の為、空港ロビーも薄暗く人影もまばらな状態でした。かなりの雨が降っており、空港出口には出迎への車が数台いるだけで、タクシーは全くありませんでした。見渡すと空港バスらしき大型のバスが一台駐車していました。室内灯は消えていましたが、バスの側に人が立っていたので、念の為に声を掛けたら空港バスの運転手さんでした。最終便の客の為に臨時運行された様ですが、結局このバスを利用したのは私だけでした。運転手が「何処から来たか」と話かけてきたので事情を話し所「ホテルに横付けする事は出来ないが、出来るだけ近い場所まで送ってあげる」と言ってくれました。その運転手は携帯で(バスが停まる場所に)タクシーも呼んでくれており、雨にも濡れず無事ホテルに着くことが出来ました。ホテルまでは基本メーターで着く程の近い場所でした。異国での雨が降りしきる深夜、感謝しても感謝しきれない位の親切が、中国旅行の良い想い出として残りました。運転手さん有難う。


このページに関するご感想やご意見などを、お待ちしています。

.R.HORI & Y.FUNATSU
公開日: 2002.08.10 更新日2014.08.17