堀・船津の中国旅行記
河北省
泰皇島
   

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2011年の中国旅行は華中地方を巡る13泊14日の旅としました。9月13日成田を出発、北京空港経由で最初の訪問地秦皇島に到着しました。
泰皇島への入り方は、複数ありますが、ここでは北京空港から空港バスで泰皇島に入る方法を中心に紹介します。その他の交通手段は特記事項をご覧下さい。北京空港のシャトルバス(机場巴士)の乗り場は、T3(ターミナル3)、T2、T1のそれぞれ1階にあります。日本からの飛行機はT3に到着しますから、入国手続きが終了したら案内版に沿って行けば分かります。泰皇島行のバスは、T3の1階3号出口の前
にあります。出口には乗車券売り場と発車時刻表があります。ここで乗車券を購入します。全席指定ですから、満席の場合は次の便の乗車券が発売されます。(詳しい運行内容は下段の特記事項をご覧ください)
泰皇島は、北京の東300キロ程の渤海湾に面した所にあります。瀋陽からは約400キロの位置にあります。河北省の地級市で人口は280万人程です。市は3つの区(海港区・山海関区・北戴河区)に分かれています。万里の長城の東端となる山海関城があるのは、東に位置する山海関区です。一方市の西に位置するのが北戴河区で、風光明媚な海岸や海水浴場もあって中国政府要人の避暑地としても有名な所です。この二つの区の間にあるのが海港区で、市政府・秦皇島駅・空港等はここに集まっています。従って秦皇島に入る旅行者の多くは海港区に到着する事になりますから、観光の為には山海関区や北戴河区に移動する必要があります。秦皇島駅の近くにある長距離バスターミナルから、北戴河海水浴場までは約20キロ、山海関区の「天下第一関」までは約18キロあります。公共交通機関を利用するならどちらも3路のバスで連絡しています。北戴河海水浴場までは約1時間、山海関区天下第一関までは、40〜50分程です。このページでは、万里長城の東端がある山海関区をご紹介します。主な見所は、天下第一関と老龍頭です。


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秦の始皇帝が築き始めた万里の長城はその後の歴代王朝によって拡張され、明代(1368〜1644年)に最盛期を向かえたとされています。近年、その総延長は21,196キロに及んだと発表されました。その東端の砦が山海関城で、東から第一番目の砦である事から「天下第一関」(下図左のジオラマ写真)と称されました。逆に西から第一番目の砦は甘粛省の嘉峪関城でこちらも「天下第一関」(嘉峪関城のページはここからご覧いただけます)と称されています。万里の長城の東端は「天下第一関」から更に6キロ東の渤海湾岸(下図右のジオラマ写真)にあります。この長城の東端部分は老龍頭(下図写真内の番号K)と呼ばれています。明代は、これら山海関一帯の長城より内側(西側)を関内、外側(東側)を関外と呼んでいました。満州に進行した日本軍を関東軍と呼んだ由来にもなっています。
天下第一関は、明王朝の開祖「洪武帝」(1368-1398年)の時代に徐達(大将軍)により建設されました。地元では天下第一関の事を単純に「関城」と呼んでいますが、約4キロの城壁で囲まれたほぼ四角形をしています。城壁の高さは14m、厚さは7mあるそうです。
関城の東西南北にはそれぞれ「鎮東楼B」「迎恩門@」「望洋門H」「威遠門I」という城門がありますが、中でも外敵に備える為に設けられた、東門の鎮東楼B
が最も堅固に建設されました。この楼上に「天下第一関」の文字(左写真)が書かれており、現在は山海関観光の中心的場所となっています。東門の壁の高さは12mで、東門の上に建つ楼閣(箭楼)の高さは13.7mあります。二階建てで、68ヵ所の物見窓が特徴です。城壁の幅は15mもあり、実際に城壁の上に立つと軍馬が何頭も横列で行進出来る程の広さがあります。この東門を中心に4キロの城壁で囲まれた広い関城内は、城郭都市となっており、現在も旧市街のたたずまいが残されています。関城内を廻る電動カートもありますが、徒歩で主なポイントを廻る「天下第一関の歩き方」をご紹介します。現在の関城の概略図は、下右図にマウスを載せるとご覧頂けますから併せてご参照下さい。
関城の東西南北にある門の内、西門を除く三門は外敵の進入に備える為のものですが、西の迎恩門@(右写真)だけは、関内(漢族)の客人を迎える為のもので、言わば関城の玄関口に当たる場所ですから、ここからスタートする事にします。迎恩門の外側には、関城西路が走っており、これと交差する西関大街からは外から見る迎恩門を写真に収める事が出来ます。迎恩門を通って、関城内に入ると、入門票売場や案内版等がある広場があります。この辺りは、庶民の暮らしが残る静かなたたずまいでした。ここから真っ直ぐ延びる西大街を東に向かうと東門の鎮東楼Bがあります。以下は、上図の番号に沿って箇条書きします。
鐘鼓楼A
=関城の中心部に位置し、東西大街と南北大街とが交差する所です。鐘鼓楼から鎮東楼に至る東大街は両側には土産店が並んでいます鎮東楼B=東大街の突き当りにあり「天下第一関」の文字が架かっています。右横の入場口(入場料20元)から入り、坂(馬道)を上ると城壁の上に建つ楼閣の横に出ます。ここから西側を望むと、鐘鼓楼や迎恩門が見えます臨閭楼D=広い城壁の上を北に進むとあります。かつての兵の駐屯所で、高さは11.4m、20個の物見窓が特徴です。東羅城E=山海関は、関城を中心に東羅城、西羅城等七つの城塞で構成されていましたが、鎮東楼の東に接していたのが東羅城Eでした。この東羅城の北隅に建っていたのが臨閭楼で、南隅に建っていたのが牧営楼Fでした。牧営楼F=臨閭楼と同じ造りで、鎮東楼を挟んで左右(北南)一対になっています。靖辺楼G=牧営楼からは城壁の上を南に向かって歩き、東端と南端が交わる所にあります。ここから渤海湾岸の老龍頭Kまで万里の頂上が延びていました。望洋門H=靖辺楼から今度は西に向かうと望洋門があります。秦皇島駅から関城に入る場合は、ここから入場できます。望洋楼の二階に登ると南側の場外と北側の城内方向を遠望できます。南側には当時渤海湾が望めたことでしょうが、今は空気も悪く海は見えません。北側には当時を連想せる通りや街の様子が見渡せます。整然と区画された道路の先には鐘鼓楼の他、関城全体も望めます
この位が主な見所ですから、時間が無い人は望洋門を出て次の目的地に向うと良いでしょう。もし時間があるなら望洋門の正面の道(南大街)を北に向かう
と、細い路地が左右にあって古城の雰囲気を味わえます。また、城壁に沿って鎮東楼Bの方向に歩いて行くと長城博物館等があります。

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老龍頭K(右写真)は、老龍頭景区の中にあります。天下第一関からは6キロ程離れておりタクシーなら10〜15分です。公共バスなら25路を利用します。建設は明王朝の開祖「洪武帝」代に始まり、明の13代「万暦帝」(1573-1620年)代まで、200年余りを要したとされています。ただ、老龍頭景区は、テーマパークの様になっており、海岸には遊覧のモーターボートが猛スピードで走っているような場所です。従って老龍頭を見るには老龍頭景区の入場券(60元)を買う事になります。入場券売り場では、遊艇乗用票(モーターボートの乗船券で50元)も売られており、黙って入場券を買うと、乗船券もセットで110元になります。モーターボートに乗るつもりがない人は、よく確認して入場券のみ購入しましょう。案内版に沿って寧海城Jの方に進みます。海神廟とか海灘と書かれた方に行くと直接海岸に出てしまいます。寧海城と書かれた城門の中は今はテーマパークとなっています。中に入ると、守備所(守備兵の詰所を再現したもの)等いろいろな箱ものが並んでいますが、(作り物ばかりなので)素通りしないと、老龍頭まではなかなか行き着けません。海の方向に歩いて行くと、長い馬道の向うに澄海楼が見えてきます。明の13代「万暦帝」によって建てられたものですが、現在の建物は1987年に再建されたものです。2階に上る(別料金2元)と、老龍頭と渤海湾が一望できます。
澄海楼から石段を下りる
といよいよ老龍頭です。「入海石城」の石碑が建っています。明代は「入海石城」と称されていたのですが、龍の頭が海に入っている様に見える事から老龍頭と呼ばれています。1987年に修復されたもので、幅8.3m、高さ9.2m有るそうです。右横の石段で海岸に下りる事ができます。海岸にはモーターボート乗り場があり、ちょっと興ざめです。その先にあるのが、海の神を祭る海神廟です。この一番奥(海に突き出た所)に海観があり、ここから老龍頭の全景が良く見えます
その他の見所
孟姜女廟
は、万里の長城の建設で犠牲になった夫の死を悲しんで、海に身を投げた妻「孟姜女」を祭っている所で、孟姜女の像があります。こちらも公園仕立ての様な所で、あえて行くような所でもありませんでした。関城から10キロ近く離れており公共バスは無いようでした。タクシーで行く場合は、帰りの足が無いので待たせておく必要があります。
次の目的地、山西省五台山へ向かう為、泰皇島20:40発の飛行機(MU2404)
で、石家荘に向かいました。石家荘に一泊し、翌日のバスで五台山に向かう予定です。この続きは、ここをクリックして「五台山」をご覧ください。
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[特記事項]
記載情報の入手日(=旅行日):2011年9月
北京空港〜秦皇島のシャトルバス
:乗り場はターミナル3(T3)の1階3号出口の前にあります。T3が始発駅で、T2とT1を経由して秦皇島に向かいます。料金は130元、所用時間は約3時間、9:00〜21:30の間ほぼ1時間毎に運行されています。バスはT3が始発で、T2とT1で乗客を乗せてから秦皇島に向かいますから、T3から乗った方が座席の確保は確実です。秦皇島市の到着場所は海港区紅旗路(人民広場付近)です。秦皇島発は、秦皇島駅の近くにある竜騰長客運輸有限公司長距離バスターミナル(秦皇島市海港区北環路405号)から出ています。
秦皇島空港:山海関と秦皇島港の間にあります。タクシーだと両方の市街地から30〜40元。ローカル空港で便数は少なく、大連・石家荘・上海・西安・哈爾濱などの国内線があります。
列車:秦皇島市には、北戴河駅・秦皇島駅・山海関駅の3駅があります。動車組のD号列車が北京と秦皇島(京秦線)間で運行されています。秦皇島駅は北京から東北の哈爾濱まで運行されている動車組の途中駅でもあります。D号列車とは、在来線を利用して走る動車組で、最高時速200〜250kmのCRH型電車の事です。
タクシー事情:市街地はメーター制で乗りやすいのですが、市街地はともかく老龍頭景区など観光施設周辺ではなかなか拾えませんでした。
宿泊したホテル:秦皇島山海假日酒店(迎恩門@に近い関城内にあるので便利)

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.R.HORI & Y.FUNATSU
公開日: 2002.08.10 更新日2014.07.16