乾陵 は西安市の西約90キロのところにあります。唐の三代目の皇帝「高宗」と女帝「則天武后」合葬墓で、海抜1049mの梁山の主峰 を利用して造営された陵墓と墓前に至る長さ1キロにも及ぶ神道(司馬道) からなる中国最大の陵墓です。駐車場で車をおり、チケットを買って中に入ると広い神道があり、はるか向こうに陵墓を見る ことができます。神道の両側には高さが4mもある墓守の石像が立ち並び  、更に、伝説上の動物「翼馬」 、西方文明とのかかわりを示すダチョウに似た「朱雀」 、今は首が切り落とされているが61カ国の外国使節の石像「六十一蕃臣像」 、則天武后の権力を示したと言われる「無字碑」 等が並んでいます。「無字碑」の由来は、則天武后が「自分の死後、石碑には文字を刻むな。自分の業績は、書かずとも業績に語らせればよい」と言い残した事から来ています。陵墓の入口には石碑 があり、ここから陵墓に上る事ができますが、かなりの時間を要しますから、時間と相談した方が良いでしょう。馬で山頂まで行くこともできますが有料です。
法門寺 は西安市の西約120キロのところにあります。漢の時代に創建され1800年以上の歴史を持つ古寺です 。2000年前インドのアショカ王は仏教を広める為、仏舎利(釈迦牟尼の遺骨)を各地に送ったと伝えられていますが、ここ法門寺もその一つとされています。1987年の修復の際、偶然に地下宮殿の中から指の仏舎利が発見されました。敷地内には法門寺博物館 があり、絹織物や金銀細工の珍宝が展示されています。中でも仏舎利が納められていたという八重の宝箱「八重宝函」 は必見です。(注)宝箱は内側の7箱だけ現存し、外箱は木製だった為残っていません。
西安1と2で、主な見所は紹介しましたが、最後にもう一ヶ所是非見ておきたいところがあります。イスラム教のモスク「清真大寺」です。清真大寺を見ると、西方のイスラム文化がシルクロードを通って、中国文化に溶け込んでいる様子が分かります。あのイスラム教の丸いドーム屋根のモスクはなく、中国様式のイスラム寺院 なのです。寺院の屋根はイスラムの聖なる青瓦で葺かれ 、仏像などの偶像はありません 。本殿は西すなはち聖地メッカの方向に建っている等、イスラムの教えに沿って造られているのです。これからシルクロードを旅する私達にとって、イスラム文化と中国文化の交わりを理解する上で、貴重な第一歩となりました。
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