堀・船津の中国旅行記
青海省
西寧

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青海省は、青海チベット高原の東北部に位置し平均海抜は3000mを超え、年間の平均気温は5℃〜8℃しかない典型的な大陸性高原気候です。中国のニつの大河「長江」「黄河」は、ここ青海省に源を発しています。唐代(618年〜907年)や宋代(960年から1279年)は、トバン(チベット)国の管轄下にありました。当時、シルクロードのメインルートだった「河西回廊」(甘粛省)は、戦乱によって度々遮断されました。その迂回ルートとなったのが、青蔵高原を通ってタクラマカン砂漠に抜ける「青海ルート」だったのです。現在は、蘭州市から青海省の省都「西寧市」を通り、青海湖を抜けていく、国道109号線として整備されています。私達は「青海ルート」をたどる為、広州白雲空港から西寧空港に到着しました。 
西寧市の標高は2275mあって、私達が着いた5月下旬は少し肌寒く感る程でした。市の人口は178万人で、その8割を占める漢族の他に、チベット族・回族・蒙古族・ト族、等の少数民族が住んでいます。街は中国の地方都市といった風情で、少数民族のシャオチー(小吃=飲茶のようなもの)を売る屋台
が沢山あります。その賑わいの中心となるのが「東大街」など東西南北の名が付いた道路が交差する「大十字町」付近です。夜余もあって夜中まで賑わっています。ここ以外にも永井巷市場なども散策してみたい所です。私達も早速街に出てシャオチーに挑戦しました。
<西寧市内の見所>東関清真大寺ー青海省には歴史的な背景からチベット族が多く住んでいますが、西寧市内では白い帽子を被った人たちを沢山見かけます
。イスラム教徒である回族の人々です。その中心となっているのが、青海省最大のイスラム寺院「東関清真大寺」です。寺の周囲は回族の店が沢山集まっており、正に回族人街といった所にあります。明代1380年の創建と記されていました。入口にあたる左右のミナレット(尖塔)をくぐるとイスラム教徒が礼拝する広大な広場があります。この広場は礼拝がある時は一般人の立入り出来ませんが、普段は観光客にも解放されています。しかし神聖な場所である事を十分心して見学したいものです。
北禅寺ー市の北側にある北山にあることから北山寺とも呼ばれています
。2000年も前に仏教寺院として建立されたと言われていますが、その後の歴史の変遷を経て、青海省で最初の道教寺院となりました。断崖のいたるところに窟が造られ、それを回廊がつないでいます。上まで登るのは大変ですが、寺院の上からは、西寧市内が一望できます。

ボタンをクリックすると、「青蔵高原を走る国道109号線」と「西寧民族歌舞」がビデオ映像でご覧頂けます。

<郊外の見所>塔爾寺(タール寺)ー西寧市の南25キロにあります。チベット仏教ゲルク派六大寺院のひとつです。寺の創建は1560年で、当時は4000人以上の僧侶がいたと伝えられています。到着して最初に目にするのが入口に建っている如来八塔です。八つの宝塔が一列に並んでいますが、これは仏の八大功徳を表していると言われています。寺院全体は左右にある山の斜面を利用して造られていますから、入り口を入ってからまず左側の丘に登ると全体が見渡せて良いと思います。沢山ある建物の中で最も有名なのが金色の屋根瓦を持つ大金瓦殿で、ツォンカパの大銀塔が祭られています。寺院のほぼ中央に建っているのが大経堂で、中の柱に沿って座布団がいく列にも並べられ、修行僧のお勤めが行われています。また境内では遠くから旅をしてくる巡礼者の姿があります。大経堂のはす向かいにある上酥油花院には、色づけしたバターを練って造ったバター彫刻が沢山あります。中でもチベットへ嫁ぐ文成公主の物語を描いたものが有名です。
互助土俗民族村ー西寧市の北40キロにあります。100所帯500人程が暮している小数民族「ト族」の集落がある所です。観光用に複数のト族の民家が解放されいます
から、民族衣装を着た「ト族」のショーや伝統料理を味わう事ができます。市内の旅行社やチャーターした運転手に頼んで予約してもらうと良いでしょう。
青海湖一周へこの項目の一部は上段画像下のビデオボタンから、ビデオ映像でご覧いただけます。私達は車をチャーターして、青海湖を一周する事にしました。早朝、西寧市のホテルを出発した私達は、青蔵高原を横断する国道109号線を西に向かいました
。市内を出てしばらく走ると、遠くに雪山が見え始め、辺りは雄大な景色に変わってきます。標高は既に3000mに達しています。
日月峠と日月亭ー約2時間(市内から90キロ)も走ると前方の峠に二つの建物
(日亭・月亭)が見えてきます。ここが標高3500mの日月峠です。7世紀の唐の時代にトバン(チベット)に嫁いだ文成公主が、ここから先は草原が続くチベットだと悲しみ、振り返って中国に別れを告げたと言われる伝説の場所です。ここで車を止めて日亭や月亭のある頂上に上ると青蔵高原が360度見渡せます
青海湖ー日月峠を越え3000m以上のなだらかな青蔵高原を、更に西へ1時間強(市内から150キロ)も走ると、いよいよ青海湖が見えてきます
。中国最大の塩水湖で、周囲約360km、面積4500q(琵琶湖の6倍)、湖面海抜は3260mあります。湖の周辺には大きな町は無く、一面に緑の大草原が広がり羊やヤクが放牧されています。湖の周辺に住んでいるのは殆どチベット族で、ゲルや佛塔が見えます。


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151漁場ー青海湖に着いて最初の観光ポイントです。この辺りのレストランで青海湖名物「湟魚」を食べることができます。湟魚は青海湖に生息する唯一の魚で大変貴重な魚です。一時は絶滅の危機にあったのですが、最近は漁獲が規制され数も増えてきているとの話でした。私達も丁度、昼食の時間になり、ここで一軒のレストランに入りました。湟魚は鱗のない魚で、唐揚げ・甘露煮等料理が味わえますが、私達は湟魚のスープを注文しました。お味の程は、まあそれなりと言う事にしておきましょう。
賽の河原?ー昼食後、再び走り続けた車は、黒馬河の町で国道109号線と別れ、湖の西岸を北上する湖岸道路に入りました。しばらく走ると岸辺にタルチョがはためいている場所がありました
。オボと呼ばれるチベット仏教の祠(ほこら)がある場所です。周りには無数の石積みが見られます。通りかかったチベット族の人々が、祈りの為に積み上げて行ったものです。まるで賽の河原のような光景でした
鳥島ーは湖の西岸にあり、4月頃から初夏にかけて数十種類の渡り鳥が何十万羽とやってきます。湖の北岸を通る国道315号線の鳥島入口
(ここで入門表を買います)から16キロ程、島の中に入ると駐車場があります。ここから先は、専用の乗合カートで移動する事になります。鳥島に着くとカモメが餌をねだって頭上を飛び回ります。ここから更に地下道を通って観察施設の中に入る事になります。無数の鳥の群れを地下シェルターからガラス窓越しに眺める感じです。ここが終わるとまた乗合カートで次の場所に移動します。こちらは海心山へ渡る船着場がある所ですが、ここから徒歩で小高い丘に登って行くと、小さな小島があります。この小島全体が鵜の生息地で、正に「黒山の鵜(人)だかり」といった様です。この辺りは、湖面で冷やされた冷たい風が、立っていられない程の強さで吹きまくっていました。帽子のついたヤッケなどが必要です。
青海湖北側ー私達は鳥島を後に、北岸を通る国道315号線を通って帰路につきました。標高3000mを越える青海湖周辺は天候の変化も激しく、北岸は雪景色に変わりました
。遠くに雪を頂く祁連の山並みが望まれました
ホテルに着いた時、車の走行距離は、800キロ近くに達していました。運転手君もご苦労様でした。


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[特記事項]
その他の見所ー西寧市民族歌舞劇場(上段画像下のビデオボタンから、歌舞の映像をご覧いただけます)・永井巷市場・青海省博物館・坎布拉国家地質公園・海心山(5月〜10月に限り渡し船が運航されています)
宿泊したホテルー青海賓館(4星)=西寧市黄河路158号Tel=0971-614-4888
美味い物・名物料理ーシャオチー(小吃=飲茶のようなもの)・皇魚
料理
西寧へのアクセス蘭州から列車を利用=蘭州〜西寧は快速列車
で2時50分、軟座60元程度。快適便利。黄河沿いを走り景色良好航空機利用=沿岸主要都市に比べると本数や路線が少ない。特にウルムチ等、内陸方面へ向かう場合は、事前にフライトの有無を確認しておく必要があります。
西寧空港から市内までは約30キロで大型のリムジンバスが運行されています。乗り場は到着ロビーを出た左端にあります
。所要時間は40〜50分位です。
市内観光の足ー西寧市内は狭いので、徒歩とタクシーの組み合わせで十分観光できます。
郊外観光の足ー西寧市から青海湖を一周して来ると約800キロ近くになります。郊外を観光するなら、車をチャーターした方が効率が良い。チャーター料金の目安は一日500元位でしょう。(私達は400元でチャーターしたが、小さな車で乗心地が悪かった。チョット値切り過ぎたかも?)。青海湖に行く場合にも、青海湖周辺には大きな町はないので、車のチャーター等は西寧の旅行社で手配する必要があります。
菜の花の時期ー青海湖と言えば、青く澄み切った湖とその周りを埋め尽くす黄色い花の絨毯(菜の花)ですが、残念ながら全く見る事は出来ませんでした。5月下旬は日本で言えばまだ早春と言った気候でした。菜の花が咲き誇るのを見たければ、6月後半の方がよさそうです。


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.R.HORI & Y.FUNATSU
公開日: 2002.08.10 更新日2013.03.01