堀・船津の中国旅行記
寧夏回族自治区
銀川

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「塞上の江南」この言葉は 実り豊かな黄河流域にあるオルドス地方を指す古くからの言葉です。銀川市はこのオルドス地方に位置する寧夏回族自治区の区都です。人口は100万人程度と中国の都市としては多くはありません。銀川は歴史の舞台に華やかに登場する事もなく、有名な観光資源も少なく、静かな地方都市といったところです。市内の市場には果物や野菜が豊富に並んでいます。特に枸杞の実やカシミヤはこの地方の特産となっています。夏の最高気温は30度前後。乾燥しているので快適ですが、こまめに水分を補給する必要があります。冬はマイナス20度以下になり強風が吹きます。春先にはこの強風が砂塵を舞い上げ「黄砂」となります。日本でも有名な黄砂の故郷なのです。
私達は空路銀川に入りました。銀川河東空港
は市内の東13キロの所にあります。リムジンバスも運行しています。市内は史跡やホテルが集中している旧市街と鉄道駅がある新市街が東西に長く広がり、7キロほどの広い道路で貫かれています。旧市街の中心は東西に走る開放街でホテルもここに集中しています。旧市街は3キロ四方と狭い街で、玉皇閣・天寺塔寧夏博物館などの史跡や市場がいたる所にありますから自分の足で歩いて見ると面白いです。イスラム教を信仰している回族が多く住んでいますから、街を歩くと、白い帽子をかぶった人が目立ちます。
一方、周辺の主な見所は、市内から遠い距離にあります。銀川市内からのおよその距離は、黄河の辺にある「横城古渡」(東13キロ)、西夏王陵(西30キロ)、鎮北堡西部映画城(西北35キロ)、賀蘭山の壁画(西北45キロ)、沙湖(北55キロ)、青銅峡108の塔(南76キロ)、沙坡頭観光区(南150キロ)等で、全部を周るにはかなりの日数が必要になります。しかし、この中で見逃せないのは「西夏王陵」です。私達は、北にある沙湖に向かい、そこから賀蘭山の山麓を南下し、西夏王陵に至るコースを観光する事にしました。
(左枠内のビデオボタンを押すと、西夏王陵の風景が、ビデオ映像でご覧いただけます
沙湖観光区
ー銀川市の北に広がる砂漠の中に出来た自然の湖です。湖には葦が茂り、鶴や白鳥等数十種類の鳥類と、鯉やサンショウ魚など数十種類の魚類が生息しています。南岸側には2000ヘクタールに及ぶ砂漠が広がっています。中国でも屈指の観光スポットとなっており、レジャー施設が完備しています。入り口から対岸の砂漠へは観光船で渡ります。高速のモーターボートなど沢山出ています。

ボタンをクリックするとビデオ映像がご覧頂けます。

鎮北堡西部映画城ー映画やテレビの60以上のロケ地として使用された所です。当然、撮影用の小道具や当時の街などが再現されたりしていますが、元々ここは、明代(1368-1644)の辺境駐屯軍の砦があった所ですから、明代の中国を知る上で面白い所です
西夏王陵ー宋代の1038年、チベット系タングート族の首領「李元昊」が建国した夏国で、当時の宋王朝の西にあった事から西夏王国と呼ばれました。西夏王国は、現在の甘粛省・青海省・内モンゴル自治区を勢力下においていたと言われています。西夏王陵は賀蘭山(最高峰は3556m)の山麓にあります。陵園全体は50平方キロにおよび、9代の皇帝陵と140あまりの陪葬墓が点在しています。王陵の正門
を入ると、乗り合いカートがあり観光客はこれに乗って西夏王陵博物館までいく事になります。博物館には、出土品が展示されている他、李元昊の半身像・王陵の模型・西夏文字の解説などが展示されており、西夏を理解する上で必見です。
王陵最大の初代皇帝「李元昊」の壮大な陵園は、博物館にほど近いところにあります
。周囲は高い土塀に囲まれ、視線の奥に釣鐘状の盛り土「陵台」が見えてきます。その後ろには賀蘭山の山並みが屏風のように連なっています。壮大な眺めに息を呑む瞬間です。「陵台」は20m程もあり、当時は8角形7層の形をしていたといわれ、緑や白、褐色の瑠璃瓦が使われ燦然と輝いていたという事です。西夏王国には独自の西夏文字が存在し、西夏王国の研究が進んだのも、近年西夏文字が発見されてからだとされます。しかし1227年、勢力を拡大した元のチンギスハンに滅ぼされ、建国から僅か200年で歴史の舞台から消えさってしまいました。現在、内モンゴル自治区の砂漠に残る黒水城や敦煌莫高屈の西夏王の壁画などで西夏の足跡を知る事はできますが、西夏人の子孫の存在は明らかではありません。
包蘭鉄道ー私達は夜行列車
(K43号列車=銀川駅22:05発⇒蘭州駅6:23着)で次の目的地蘭州市へ向かいました。内蒙古自治区の包頭市と甘粛省蘭州市を結ぶ路線で、黄河に沿って黄土高原を走りぬけます


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[特記事項]

主な観光ルートと所要日数の一例

1泊2日コース;
1日目=市内散策、2日目=
沙湖鎮北堡西部映画城西夏王陵
2泊3日コース;
1日目=市内散策、2日目=西夏王陵→青銅峡108の塔、3日目=沙坡頭観光区
車チャーター料金
;個人旅行では車のチャーターが必要となりますから、目安としての料金を書いておきます。私達の上記記述コースの場合は、小型タクシーでしたがガイド付560元でした。車だけのチャーターで1日300〜400元が目安と思います。入場料や食事などは別に必要です。
沙湖の入場料=
沙湖はレジャー施設となっているので、入場料は80元と高めです。その上、湖を渡る往復の船代など各種の乗り物代が必要になります。何やかやで200元位かかりました。これに対し、西夏王陵は40元です。私達の様に史跡を巡る旅をするものにとっては、時間と費用がもったいない気がします。賀蘭山の岩絵の方が良いかも知れません。
料理の特徴
:イスラム教徒が多いのでレストランはイスラム(清真)料理店が多い。料理は見た目には中国料理と変わりありませんが、イスラムの教えから豚肉を使わず羊肉(ヤンロウ)を使っている事です。
代表的な料理:「特色※忠白水羊肉」(※=口の下に天)
=羊の肉を水炊きの様に煮込んだもの麻辣火鍋=羊肉しゃぶしゃぶ。
珍しい料理:「※皮紫菜湯」(
※=虫へんに下)=海草(一見硬い海苔のような)スープ。糖酢黄河鯉魚=黄河で取れた鯉の酢豚風料理。
特産品
寧夏には五つの色の宝「五色宝」があると言われます。白=灘羊皮=良質のカシミヤとして世界的に有名、紅=枸杞の実=漢方、黄=甘草=漢方、黒=石炭、紫=賀蘭石=硯・印鑑・置物などの材料として有名。
少数民族:回族


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.R.HORI & Y.FUNATSU
公開日: 2002.08.10 更新日2013.03.01